え、ユーキャンってマーケティング企業なの?業界屈指のノウハウをマーケターが公開!

プロフィール

神吉(Kamiyoshi)

2005年新卒入社。幼い頃から、実家が経営していた居酒屋でいろいろな大人と接する機会が多い環境で育った。その影響か「おじさんみたいな子どもだった」と語る。講座・商品に関わらずシニア向け商材の広告制作は性に合っているそうだ。現在は、通信販売事業部文化教養事業マーケティング部メディアマーケティング課で、新聞広告を主に担当。係長としてチームをまとめている。

うちのマーケティングチームに、「失敗」はないんです。 

―ユーキャンでは、通信教育、通信販売という領域で、マス広告、ウェブ広告、DMなど様々な広告を作っていますが、それぞれで作り方ってけっこう変わるんですか? 

神吉:講座なら講座、商品なら商品の魅力を余すことなく伝えるというのは同じです。でも、作り方や気を付けるべきポイントは全然違うんです。例えばマス広告の場合、新聞全面広告といった限られたスペースで読み手の興味を惹きつけなければならない。一方でDMは封筒、レター、カタログ、プレゼントについてのペラなど、様々な角度から商品・サービスの魅力を伝えられる。私は通販事業のマス広告に携わってから、教育事業部のマス広告を担当し、その後DMマーケティングチームに異動になったのですが、そこで驚いたのは「ここまで丁寧に言葉を紡がないといけないのか」ということ。新聞広告の場合、新規のお客様向けに、比較的端的で華々しい表現が求められます。その一方でDMではそれにも増して商品の魅力を深堀りし、言葉の選び方、文章の書き方をしっかり意識し続けないとご愛顧いただいているお客様の心には響かず、物足りないDMとなってしまいます。 

―最初は確かに戸惑うことも多そうですね。 

神吉:そうですね。そもそも、通信教育のメインターゲットはF1層(20歳~34歳の女性)で、通信販売のメインターゲットはM3層(50代以上の男性)。扱う商品や講座によってもターゲットは変わるので、マーケティングの考え方や表現の仕方もガラッと変えなければいけない。でもそういう環境の変化って、個人的には「おいしい」と思うんですよね。同じ会社にいながら、ジョブローテを通じて、マーケターとして幅広い学びを得られるということですから。 

―それぞれのターゲットに合わせたノウハウはどうやって蓄積するんでしょう? 

神吉:何度も何度もテストマーケティングを繰り返します。たとえば、これまで一定の成果が出ていたAという新聞広告の原稿に対して、これまでとは違うアプローチの広告を地方紙で試してみる。ダイレクトマーケティングって「オーダー数」というかたちで結果がはっきり跳ね返ってくるので、結果が見えれば次へのステップが可視化される。従来より良かったのか悪かったのか。もし悪かったのなら、何が原因なのか。そこで得た学びは着実に自信にもなるし、より良い広告を作るための確かな布石にもなる。それって、失敗しても、もはや失敗じゃないですよね。 

―確かに!でもテストとはいえ若手にとってはプレッシャーが大きそう。 

神吉:1年目から新聞の全面広告とか任せますから(笑) でも、「失敗も、そこから学べば失敗じゃない」という考え方は多分ユーキャンの全員に根付いているので、もし成果が出なくても「じゃあ次はここ直してチャレンジしてみよう」というアドバイスの仕方になるんです。 

―普通の広告会社だったらそうはいかなさそうですね。 

神吉:顧客企業からお金をいただいて広告を作るとなると、なかなかチャレンジングなことはしづらいですよね。でもうちは、自社商品のプロモーションなので、思い切ったチャレンジができる。それは、メーカーならではの面白さかもしれません。あと、ユーキャンでは様々な顧客データを蓄積していますが、広告作りにおいてはデータ以上にターゲットのインサイトが大切だと思うんです。ターゲットのインサイトを、ここまで社員一人ひとりが血肉にしている会社は他にないかもしれません。 

「シニア」なんていう名前の人は、いない。 

―ターゲットのインサイトとは? 

神吉:たとえば、通信教育の講座を受けているシニアと、通販商材を買ってくださるシニアは、同じシニアでも志向性が全然違う。あくまでも個人の見解ですが、講座を受ける方はどちらかというと気持ちが少し先に向かっていて能動的。「もっとこうなりたい」「今度はこれをやってみたい」という気持ちが強い。いわゆるアクティブシニアですね。一方で、通販商材を買ってくださる方は「悩みをサッと解決したい」「手間なくすぐに楽しみたい」という気持ちが強い。「今この時」を大事にされる現在志向というか、そういう方が多いように思います。 

―言われてみると確かにそうかも。 

神吉:日々お客様から届くたくさんのお手紙からターゲットの本音を拾えているのも、ユーキャン独自の強み。商品・サービスに対してのご要望、「ここが良かった」というお褒めの言葉、ときにはご自身の人生を語ってくれるお客様もいらっしゃいます。そうした生の言葉から得られるインサイトは、広告代理店のマーケティングデータをどれだけ眺めていても出てこない。若手からベテランまで全員がそれらを理解し、商品・サービス作りや広告作りに活かしています。 

―とはいえ、20代の若手が、70~80代向けの広告を作るのは難易度が高いように思うんですが。 

神吉:データだけを見て作ると、確かにありがちな広告になってしまうと思います。それではターゲットの心は動きません。だからこそ新人さんにはまず、「ターゲットを“シニア”と一括りにしてはいけないよ」と伝えているんです。その広告に興味を持つ人はどんな人か、どういう気持ちで広告を眺めるのか。広告を手にしたお客様の表情が思い浮かぶくらい、その人にフォーカスして想像力を働かせなくてはなりません。見込み顧客の志向性やメディアの在り方はこの先どんどん変化していくと思いますが、そのこだわりだけはこれからも大切にしつづけたいですね。 

―なるほど!データを重視するマーケティング企業としての顔と、人対人のつながりを重視するアナログな企業としての顔、両方を持っているのがユーキャンらしさなのかなと、神吉さんのお話を聞いて感じました。本日はありがとうございました! 

神吉:ありがとうございました! 

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