マーケターの2人がEdTech(エドテック)ツールを自前で開発。背景にはいったいどんな想いが?

プロフィール

高桑(Takakuwa)講座指導部企画開発課 2005年中途入社

鶴見(Tsurumi)講座指導部企画開発課 2007年新卒入社

雑談から動き出した、通信教育のデジタルツール化プロジェクト。

―お二人はもともとマーケターとして入社したんですよね?

高桑:そうですね。私は2005年に中途で入社したのですが、当時の雑誌ネット企画課というチームでウェブの広告出稿やウェブページのサイト改善等に携わっていました。

鶴見:私は最初通販部門に配属され、新聞広告を中心とした紙メディアを使ったマーケティングを担当していました。その後ウェブマーケティングの部で、ウェブ広告のディレクションや出稿、メールマガジンの配信といった業務に携わっていましたね。

―そこからなぜ、デジタルツールの開発をやるようになったんですか?

高桑:ウェブマーケティングを担当していた2012年ごろ、講座のウェブページへのスマホ流入が急激に増え始めたのを見て、この市場は絶対に伸びるという確信がありました。様々な業界がスマホアプリを出してくる中で「うちは手掛けなくていいんだろうか?」という漠然とした不安を抱えていたんです。上司との雑談中にそんな話をしていたら「じゃあ提案してみたら?」と言われて。企画書を作って持っていくと、「よし、やってみよう」と前向きな反応をいただきまして。

―へ~!そんなスタートだったんですね。

高桑:会社としてもデジタル領域の施策は手をつけるべきだと感じていたんだと思います。当時はウェブマーケティング部預かりのプロジェクトとしてスタートし、あるときから開発部に異動して今に至るという感じです。社内にIT技術者はいなかったので、実際のアプリ開発は外部の会社に委託し、3年ほど運用を担当しました。

―鶴見さんはいつ今の部署に参加したんでしょう?

鶴見:実はまだ今の部署に来てから1年と少ししか経っていないんです。それまでは主にウェブのマーケティングをやっていて。

高桑:増員について上司を通してご相談していく中で鶴見の名前が上がった時はぴったりだと感じました。直接話したことはなかったですが、通販のウェブ部門で立ち上げ期から実績を積んでいることは知っていたので。うちのチームに鶴見の同期がいて、彼が鶴見を信頼していたというのも大きかったですね。

―いきなり畑違いの部署に来て戸惑いはなかったですか?

鶴見:ウェブマーケティングの部署に所属していたこともあって、ウェブの知識は多少はありましたし、簡単なプログラミングの経験もあったので、多少はお役に立てると思っていたんです。でも、実際来てみたら私では到底及ばないレベルのことをやっていて、本当に驚きましたね。「うちの会社に、こんなにIT技術の高い人達がいたのか」と。

外注するコストがないなら、自分たちで開発すればいい。

―高桑さんはITの知識や技術をどうやって身に付けたんでしょう?

高桑:実は鶴見が来る前、2017年ごろに新しいウェブ学習支援ツールを作ろうという話が出ていたんです。実際の開発は外部の会社に委託するはずが、コストの折り合いがつかずペンディングになってしまった。「それなら自分たちでやろうか」と動き出したのが始まりでした。

―え!プログラミングとか技術的なことはどう解決したんですか?

高桑:自前で学びました。グーグルで検索したり本を読んだり。あとは、社内で参考になりそうな設計書を漁ったりして。

―それ、めちゃくちゃ大変ですよね。そのモチベーションはどこから来たんでしょう?

高桑:会社として、ウェブツールをもっと強化していかなきゃいけないという想いはもちろんありましたし、この機会を逃すとまた動き出すのが数年遅れてしまうという危機感もありました。せっかく集まったチームが解散するのも寂しいですしね(笑)

―なるほど。とはいえ手探りでのデジタルツールの開発、苦労も多かったのでは?

高桑:もちろん大変でしたが、実は、リリースした今の方がもっと大変。開発中は利用者もいないし、時間が許す限り何度でも作り直してチャレンジすればいい。でも、今はもうリリース済みで2万人を超えるお客様にご利用いただいています。サービスを止めることなく機能を進化させていくためには、サーバー等のデータベース的なところからセキュリティ対策まで、気を付けるべきことが山ほどある。プレッシャーもリリース前とは比べ物になりません。

つくるのはデジタルツールではなく、通信教育の新しい未来。

―具体的に、今はどんなお仕事をされているんですか?

高桑:講座で使われるデジタルツールの企画・開発・運用、サーバー管理や問い合わせ対応まで一気通貫で担当しています。

鶴見:デジタルツールは、開発してリリースしたらそれで終わりじゃないんです。より学びやすくするために機能の改善が必要。新しく実装した機能が実際にどう使われているか、ユーザーの行動履歴のログを分析して改善を繰り返す形で、PDCAを回しつづけています。

―デジタルツールならではの面白さって何でしょう?

鶴見:やっぱり、ユーザーの動きをリアルタイムで分析できることですね。うちのチームは企画担当が3人しかいないので「ここがわかりづらいのかもね」「ここは改善すべきかもしれない」と、その場で議論して比較的すぐに試すことができます。ユーザーの反応が良くても悪くても、それは全て私たち3人の責任。プレッシャーも大きいですが、達成感もすごくあります。

―え!3人しかいないんですか?

高桑:担当は3人だけです。他に嘱託社員が1名と派遣社員が2名。これだけのメンバーで提供しているデジタルツールの全工程を担当しているので、狙った施策がハマって多くのお客様が使ってくれたときは、やっぱり素直に嬉しい。モノづくりの醍醐味だと思います。

―これからのデジタルツールの展望は??

鶴見:今のツールも、かなり良いものだと思います。ですが、まだ一部の講座でしか活用できていません。もちろん講座によって学び方や受講者の特性も違うので、そのまま横展開することはできないのですが、各講座に合わせて丁寧にカスタマイズし、少しでも多くのお客様に使っていただきたいですね。

高桑:学習を習慣化すれば成果につながるというのは、誰もがわかっていることだと思います。でも、毎日つづけるのは本当に大変で、面倒くさいと感じる人がほとんど。私は、その矛盾を解決できるようなデジタルツールを作りたい。勉強の面倒くささだけを取り除き、いかに「面白い!」「身に付く」と感じていただけるか。そこを追求したいと思っています。

―具体的にはどんなツールが考えられるでしょう?

鶴見:例えば、受講生お一人おひとりの苦手分野や学習傾向、生活習慣までをAIが勝手に学習し、最適なタイミングで最適な問題をリコメンドしてくれるというツールも、やり方次第で技術的には可能になってきていますよね。また、スピーカーやスマートフォンと連携させて生活しているだけで向こうから勝手に問題がやってくるような展開も考えられます。そういったものが可能になれば、「勉強するぞ!」とわざわざ気合いを入れなくても、いつの間にか勉強が習慣になっていく。そんな、教育の新しい未来をデジタルツールで切り拓いていきたいですね。

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