苦労の分だけやりがいがある。知られざる講座開発の裏側をお見せします。

プロフィール

野田(Noda)1994年新卒入社。開発部大人学び開発課次長。大人世代をメインターゲットにした通信講座の開発チームを率いる。

西村(Nishimura)2006年中途入社。開発部開発課次長。宅建の取得をきっかけに社会人の学びに興味を持ちユーキャンへ。主に20代から40代を対象にした通信講座の開発チームを率いる。

まず、走り出すまでにひと山。アイディアを自分で「形」に。

—通信教育の講座は、どのような流れで生まれるのでしょうか?

野田:開発部のメンバーは日ごろから新講座のアイデアを温めているんです。まずはそれを持ち寄ってアイデア会議をします。いろんな個性的なアイデアが出て面白いですよ。その後、アイデアをアンケート調査にかけて、上位のものを企画へと進めます。うちのチームはこのアイデア会議を半年に1回ほど開催しています。

西村:うちのチームも開発のフローは同じですが、アイデア会議は3ヶ月に1回くらい開催しています。

—講座のアイデアはどうやって考えていますか?

西村:ネットのほか、書店巡りや、展示会などにも行きます。電車に乗っている時やテレビを見ている時も、常にアンテナを張って、トレンドを追っています。

野田:これまでのヒット講座を参考にすることも多いですね。例えば、「薬膳コーディネーター」という食系の講座がヒットして、そこから「野菜スペシャリスト」や「発酵食品ソムリエ」など食系の講座がどんどん増えていった例もあります。

—企画段階での具体的なお仕事は?

野田:講座のテーマについての本を読んだり、ネット記事を見たり、専門家に話を聞いたりして深く調べ、社内プレゼンに臨みます。予算もこの段階で承認されます。教材の開発は、社外の編集プロダグションや映像会社、監修者といった協力先と交渉したり、助言をいただきながら進めていきます。

西村:各取引先との条件交渉はシビアで胃が痛くなる思いでやっています(笑)。特に、資格の認定団体を探すのは大変ですね。すでに資格講座を実施している団体であればご一緒することも、あるいは別の資格を新設してもらうこともあります。話がうまくまとまらなければ知見を持っていそうな団体を新しく探す必要があります。新規の団体や監修者には、まずユーキャンとは何かという説明から始めて、理念に共感してもらわないといけません。どちらにしろ、すんなりいくことは少ないですよ。

全部やるから、達成感が湧く。自信になる。

—企画が実現しないこともあるのでしょうか?

野田:企画を始める段階で吟味するので、始まってからダメになることはほとんどありませんね。社内プレゼンで課題が出ることもありますが、もう一度練り直して再度プレゼンに臨みます。

西村:うちの会社にはテスト文化が根づいていますからね。試さないとわからないからやってみなよと。社内プレゼンでの指摘も企画内容や営業戦略の疑問点を解決するためであって、企画を実現させないことが目的じゃないですからね。

—社内で実施するプレゼンの相手はどなたになるのでしょうか?

西村:視野が狭くならないように、まずはマーケティング部門に企画についての意見をもらいます。修正を加えた企画を持ってまずは上長にプレゼン。次は専務、役員にプレゼン。最後に社長、会長へのプレゼンという流れになります。その際、指摘があれば再プレゼンです。

野田:途中で問題が浮上しないよう、企画段階から社内の各部門と調整しておくのも仕事のうちです。

西村:とにかく、スピード感を持って何度もプレゼンを繰り返す。最初のプレゼンから講座リリースまでは約1年くらいです。

—1年? それは早いですね!

西村:そうなんですよ。その間はとにかく関係者との調整の連続。一番時間がかかるのは、教材の原稿が上がってくるまでですかね。原稿が上がってきた後も、校正作業があるし、教材はテキストだけに留まらずサブテキストや映像教材などに派生することもあって。もうやることはいっぱいです。

野田:企画や編集だけでなく、交渉から営業支援まで幅広い仕事を一人の開発担当がこなしているんです。0から1を生む仕事ですし、正解もない。みんなよくやれてるな、すごいなって、メンバーを見て思っています。大変な分、リリース時は「これは自分が作ったんだ」と、達成感を味わえる仕事なんですけどね。

—仕事の幅が広いんですね。ちなみに、営業支援というのはどんな仕事ですか?

野田:講座のリリース前に、営業企画担当向けに説明会を開催します。訴求ポイントやターゲット、キャッチコピー案など伝えて、イメージ写真、音源、動画といった広告に使える素材も提供します。

西村:あとは、マーケティング部だけでなく、講座指導部とも連携していきます。講座の運用が始まった後は、受講生からの質問対応や課題の添削を引き受けてもらうので、そのためのマニュアル整備が必要になるんです。さらに、お客様サービスセンターへの説明、発送部門とのやりとりなど社内調整は終わりません。リリース後も、受講生の質問をもとに教材を改訂していく作業があります。

野田:その段階まできて、ようやく次の講座の開発ですね。

西村:そうですね。ひとりの担当者が抱えられるのは、同時に2、3講座が限度だと思います。それだけ、1講座あたりの仕事のボリュームが大きいんです。

受講生一人ひとりの人生を変える講座を届けつづけたい。

—開発の流れとその裏にあるご苦労がよくわかりました。今度はお二人が実際に関わった講座のなかで印象的なものを教えていただけますか?

西村:私はペット系の資格講座です。当時のユーキャンにはペット系の講座がなかったのですが、すでに他社が手がけているトリマーなどの資格講座に追従するのではなく、よりよい飼い方のための新しい資格講座をつくりました。資格認定をお願いした団体との契約が複雑で大変だったこともありますが、先方の会長と懇意になり、別のペット系の講座開発にも派生しました。

野田:本当にかわいらしい教材なんですよね。

西村:せっかくのペット系講座なので、かわいらしい誌面にしたかったんです。そういう教材作りが得意な編集プロダクションを探しました。初めての仕事だったので、ユーキャンの仕様をお伝えするのが難しかったですが、最後にはすごくいいものができました。

野田:かわいいだけじゃなく、わかりやすい。いい教材です。

—野田さんはいかがですか?

野田:私は「ピアノ講座」の開発が印象に残っています。ピアノって教室に通って学ぶイメージですよね。通信講座で本当に弾けるようになるだろうかと最初は心配でした。だから、なるべく教室レッスンに近い映像中心の教材にしたんです。また、ピアノが弾けない社員に協力してもらって仮撮影の映像を見ながら弾けるかどうか実験したりもしました。そうすると、「ソってどこですか?(泣)」とか、初心者ならではの意見が出てくるんです。「ああ、初めて学ぶ人はそこがわからないのだな」とさまざまな発見があり、構成を直してから本番の撮影をしました。

西村:受講生からの反響がいいDVDなんですよね。

野田:撮影の際、先生に「ゆっくりでいいですよ」「一緒に弾いてみましょう」などの優しい声掛けをたくさん入れてもらったんです。楽譜もなるべく簡単に弾けるように工夫してもらったり。専門家の知見をリスペクトしながらも、こちらは受講生の学びやすさを監修するプロとして意見を出す。それが私たちの仕事です。

―どういったところに、お仕事のやりがいを感じますか?

野田:やっぱり、できあがった講座を受講してくださるお客様がたくさんいるということですよね。資格を取って人生変わったという人もいるし、趣味のおかげで毎日楽しく過ごしているという人もいる。誰かの人生に彩りを添えることができているという喜びはあります。

西村:本当にそうですね。私が開発した講座の中に、高卒認定試験の講座があります。若い方をターゲットとして想定していたのですが、30~40代の中卒の方も多かったんです。自分の子どもに頑張っている姿を見せたいとか、正社員として働きたいから高卒認定試験に合格したいとか受講理由はさまざまでした。「ユーキャンで頑張れた経験が自信に繋がりました」というお手紙までいただいて、思わずウルっと来ちゃいました。微力ですが、前向きな人生へのお手伝いができたんだなって。そういう受講生の声は、次への原動力になりますね。

ワンチームで、これからの時代に立ち向かう。

―最後に今後の目標を聞かせてください。

野田:さまざまな講座を開発してきましたが、今はマネージャーの立場なので、笑顔で働ける部署をつくることが目標です。お話した通り、開発の仕事ってひとりで悩むことも多い。だからこそ、マネージャーとして、担当者一人ひとりとしっかりコミュニケーションを取るよう心がけています。少人数のチームなのでアットホームな環境をつくりたいなと思います。

西村:うちも同じです。ワンチームとして仕事に取り組んでいく。開発の仕事は大変だから壁にぶつかるのは仕方ない。メンバーにはそういう時、自分で考え動いて解決できる人になってもらいたい。あえてこうしようとは言わず、「あなたはどうするか」と問いかけるようにしています。

野田:開発部全体としては、時代に合わせた新商材を考えるというミッションがありますよね。

西村:そうですね。

野田:講座のテーマもですが、今後は「新しい学び方」も開発していきたい。紙のテキストじゃなくWEBや動画でも学べるとか、添削もスマホでできるとか。一部すでに始まっていますが、開拓の余地はまだまだあります。

西村:そのとおりです。新しい学びの形を模索し、これからの時代もユーキャンとしての存在価値を発揮していきたいですね。

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