ユーキャンは、膨大なマーケティングデータをどう活用しているのか?その裏側を公開します!

プロフィール

上原(Uehara)通信販売事業部 ココチモ事業 マーケティング部 マーケティング課係長 2005年入社

広告に限らずほぼすべての事業活動でデータを活用しています。

―ココチモでは、収集したデータをどのように活用しているんですか?

上原:ユーキャンには1500万人を超える顧客リストがあります。ココチモ単体で見ても100万人以上。そうした顧客の性別、年齢、過去の購買履歴、広告に対しての反応率等を属性ごとに蓄積しているんです。それらのデータを見ながら、「この商品はどういう属性のターゲットにマッチするか」「そうしたターゲットに対してはどんな切り口の広告がヒットするか」「どのくらいの広告費用をかければどのくらい売上が上がるか」といった具合に予測を立てていく。データを活用することで、「広告の反応率が上がる」「費用対効果がわかる」「広告費用の予算が立てやすい」など、メリットも多いと思います。

―データをかなり重要視されているんですね。

上原:ユーキャンの事業活動のすべてでデータを活用していると言っても過言ではないと思います。商品を開発する際はお客様のアンケートや類似商品の売上データは必ず見ますし、メーカーへの発注数も過去の販売データから適正量を算出しておく必要がある。物流も同様です。広告を出稿して何日後にどれくらい反応があるかを事前に計算して出荷の相談をしておく。それこそ、はがき・電話・ウェブといった3つのルートでお客様からレスポンスが返ってくるので「このターゲット、この広告に対しては電話でのレスポンスは○%ぐらいだろう」と予測を立て、コールセンターの座席数も商品や時期によって変えなければなりません。

―へー!そこまで幅広くデータを活用しているとは驚きました。

上原:そうなんです。広告の反応率を上げるだけのものではありません。商品の発注数の予測も大事ですし、予測が少なすぎても多すぎても機会損失につながってしまう。でも、これだけ大量のデータを活用できるので、かなり正確な予測を立てることができています。

―過去に大きく予測を外してしまった、ということは?

上原:これまではほとんどなかったのですが、コロナの影響で巣ごもり需要が増えて予想を大きく超えて扇風機が売れましたね。生産が追い付かないほど注文が来てしまったんです。正確に予測できていたらもっと売上が上がっていたはずなので、悔しかったですね。

データに間違いはないけれど、見方を間違えると意味がない。 

―データを見るときに意識していることはありますか?

上原:表面的な数字に捉われず、実態をきちんと把握すること。データに間違いはないけれど、出てきたデータをどう見るか、どう捉えるかで間違えてしまうこともあるので。たとえば、ある商品のレスポンス率が特定の層で30%増えたとしますよね。でも、もともと20しかなかったのが26になっただけだとしたら、その30%という数字にはデータとしての信憑性がない。実数も合わせて分析していく必要があると思います。

―なるほど。データを見ていて面白いポイントは?

上原:データをよくよく分析していくと、見えてくるものがあるんです。一時期、ある商品の返品率がすごく高くなっていて「商品か広告か、どこに問題があるのか……」と考えていたのですが、年齢別の内訳を見てみたら若いお客様はほとんど返品していなかった。返品しているのは80代以上に偏っていたんです。

―へー!何か理由があったんでしょうか?

上原:商品の一部機能が無線LANにつながないと使用することができなかったんです。wi-fi接続が必要という点が80代以上の方にとっては非常に大きな負担になっていたようです。

―なるほど、それは確かにそうですよね。どのように対処したんでしょうか?

上原:DMを送るターゲット層をもう少し若めに設定しました。あとはどの商品にも言えることなのですが、広告上でも無線LANの必要性についてわかりやすく記載したり、説明書をできるだけ簡易にしたり等の工夫をしています。これらの施策は、全体の返品率の数字だけを見ていても生まれてこなかった。分析の仕方を変えれば見えてくるものがある。データ活用ならではの面白さだと思います。

商品開発もクリエイティブも、データ分析が肝になる。 

―他に面白いと感じるポイントはありますか?

上原:やっぱり分析を積み重ねて、商品の売上を着実に伸ばしていけることですね。ココチモの場合、その商品を初めて販売するときは、テストマーケティングとして数百個からのスタートなので、まずは絞ったターゲット層に向けてDMを送付してみるんです。反応が良ければターゲットを広げてみる。その過程で当然クリエイティブも改善していきますし、お客様のアンケート結果を分析して商品にも改良を加えます。さらに、新聞やウェブなどのメディアにも販売を展開し、そうやって数百個からスタートした商品を、万単位で売れる商品へと育てていくのですが、その根底に流れているのはやはりデータベースマーケティング。商品開発、クリエイティブ、マーケティングのすべてに携わることができるのは、ユーキャンならではの面白さだと思います。

―最後に、ユーキャンのマーケティングの今後の展望を教えてください

上原:冒頭にお話しした通り、1500万人を超えるものすごい数の顧客データを蓄積しています。その活用の可能性はとてつもなく大きい。今は分析ツールを使って必要なデータを算出し、人間の経験値で分析をしていますが、将来はAIを使ったデータ分析が可能になる日も来ると思うんです。人間の経験と勘を超えたAIが誕生した未来では、ユーキャンが持つデータをどう活用できるようになるのか、今からとても楽しみですね。

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